conocono's 薬草苑

薬用植物やハーブをめぐる彷徨・時に冒険  薬草は楽し

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2010.10.02 Sat 19:11
ところで、センナの仲間は何種類あるんだろうか?
分類体系によって、Cassia属(ナンバンサイカチ属)であったりSenna属であったりするので複雑だが、さらにChamaecrista属(カワラケツメイ属)も交えて類縁関係が面倒なことになっているようだ。

植物の学名を調べるにはいくつかのデータベースがあり、インターネットを通じて検索することが出来る。便利なことに国会図書館のサイトに、学名の調べ方と、データベースの特徴が紹介されていて、さらにリンクをクリックすれば各データベースに飛ぶことが出来る。

いくつの学名が記載されているのかをザッと調べるためにIPNIで検索してみると・・・
Cassia属:約3,000レコード
Senna属:約1,000レコード
Chamaecrista属:約1,300レコード
となっている。

Cassia属とSenna属を統合する意見もあるから、とにかく大所帯であることは確かだ。この中で我々に馴染みのある薬用植物、民間薬植物は、いわゆるセンナの他にハブソウやエビスグサがある。

ハブソウ
↑ ハブソウ:Senna occidentalis (=Cassia occidentalis)
熱帯アメリカ原産の一年草で、草丈は1m前後。日本には江戸時代に導入された。葉を毒虫や毒蛇(特にハブ)に咬まれたときの民間薬として使われたという。種子を炒ったものを「ハブ茶」と呼ぶが、現在販売されているハブ茶はエビスグサの種子を使ったものらしい。

エビスグサ
↑ エビスグサ:Senna obtusifolia (=Cassia obtusifolia)@松戸市
原産地不詳、熱帯地方に広く分布している。草丈1m以上になる低木だが、栽培においては一年草扱い。

エビスグサの果実
↑ エビスグサの果実(莢)@松戸市
細長く湾曲した形が特徴。
熟した種子を「決明子(ケツメイシ)」と呼ぶが、これは目をすっきりさせるタネという意味だそうだ。ケツメイシは日本薬局方にも収載されるが、葉も含めて、医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断されない。種子の成分はアントラキノン誘導体とのことで、この緩下作用により便秘、腹部膨満感に効果があるとされる。具体的にどのような成分が入っているのか追って調べることにしよう。

ハネセンナ
↑ ハネセンナ:Senna alata (=Cassia alata)
別名キャンドルブッシュ@石垣島
最近、緩下作用やデトックス効果があるお茶等として売られている。食薬区分では、医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断されない植物素材となっているが、成分分析の結果センノサイドが検出されたとの報告がある。「便秘に効果がある」と言って販売している時点でアウトだが、将来的には「専ら医薬品」に分類される可能性があるだろう。

チンネベリーセンナ
↑ 栽培中のチンネベリーセンナ:Cassia angustifolia

さて、CassiaやSennaの分子系統分類はどうなっているのかと思って文献検索してみると・・

Acharya Laxmikanta, Arup Kumar Mukherjee and Chandra Panda Pratap
Validation of generic status of different taxa in the sub- tribe Cassiinae (Leguminosae: Caesalpinoidae) using RAPD, ISSR and AFLP markers
International Journal of Plant Physiology and Biochemistry Vol. 2(2), pp. 18-28, May 2010

が、ヒットした。

cassia系統樹

RFLP, マイクロサテライト, AFLPを組み合わせて類縁関係を解析した結果が上図である。
この解析方法で見る限り、Cassia属、Senna属、Chamaecrista属に分けることは妥当であるようだ。Senna属は亜属レベルでさらに分類出来るのかも知れないが、あまり深追いするのは止めておこう。気になるのは、緩下作用のあるセンノサイド類はセンナ属に広く含まれているのではないかということだ。タガヤサンの成分分析論文は出てないだろうか。
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2010.09.18 Sat 17:38
薬用として使われているセンナが2種類共に開花したので、植物分類学上はどのような扱いになっているのかを調べてみた。一般名では、その自生地に基づいて次のように呼ばれる。

1.アレキサンドリアセンナ:スーダンのナイル川流域に自生あるいは栽培
2.チンネベリーセンナ:インドの南部及び西部に自生あるいは栽培

センナはマメ科に属する植物だが、APG分類体系では、マメ科は大きく次の3亜科に分けられる。

 ・マメ亜科 Faboideae
 ・ジャケツイバラ亜科 Caesalpinioideae (クロンキスト分類体系ではジャケツイバラ科)
 ・ネムノキ亜科 Mimosoideae

亜科は花の形の違いで見分けることが出来る。ちろん例外もあるようだが、概ね下の通りである。

 ・マメ亜科:竜骨弁を持ったいかにもマメの花(スイートピーのような花)
 ・ジャケツイバラ亜科:羊蹄木(バウヒニア)の花のような竜骨弁をもたない平面的な花
 ・ネムノキ亜科:まるで線香花火のような花

センナは花の形から、ジャケツイバラ亜科に属することがすぐに判る。

マメ科の葉の形は羽状複葉が普通だが、クローバーのように小葉が3枚しかないために羽状複葉に見えないものや、羊蹄木のように全くマメ科らしくない葉を持つものもある。いずれにしても、果実の形は見慣れた「マメ」の莢となり、果実を見ればマメ科であることは一目瞭然だ。もっとも、タマリンドのようにソーセージのような形であったり、落花生のような形になると、一見「マメ」とは思われない。モダマのように巨大な莢になると、いかにもマメの莢であるにもかかわらず疑念をもってしまう。恐らく「マメ」という言葉に「小さい」というイメージが知らず知らずに染み込んでいるんだろう。話が脱線したが、センナの葉は偶数羽状複葉である。

属レベルになると、センナの位置づけはややこしくなる。文献によって、Senna属であったり、Cassia属であったりする上、2種が同種とされたり、異種とされたりする。同種であるとすると、アフリカとインドに隔離的に自生するということになり、どちらかが人間が持ち込んだものである可能性も生じる。ここでは便宜上、学名を次のように定義するが、 2種をまとめてSenna angustifoliaとする意見もあるようで、いずれ詳しく調べてみたい。

アレキサンドリアセンナ:Cassia acutifolia (= Senna alexandrina)
チンネベリーセンナ:Cassia angustifolia (= Senna angustifolia = ホソバセンナ)

とりあえず、現時点での手持ちの植物の違いを見ておくと・・

センナポッド

↑ 入手したセンナポッド(莢) 左列がインド産チンネベリー、右列がスーダン産アレキサンドリア
一見して、アレキサンドリアセンナの莢の方が幅広であることが分る。先の記事に書いた花の大きさの違いと、莢の幅で2種のセンナを見分けることが出来るだろうか? ただ、手持ちの数個体で判断するのは危険であるから、押し葉標本(さく葉標本)が無いものかと探してみた。すると・・

エチオピア標本
キュー植物園のデータベースで数点の標本を見ることが出来た。↑の標本はエチオピア産とある。莢は幅広で、手持ちのものと似ている。

スーダンのセンナ標本
問題は↑のスーダン産で、莢の幅が狭いように見える。未熟果である可能性もあるので判断に困るが、アフリカ産センナの変異が大きい可能性は覚えておいた方がよさそうだ。

センナ葉
↑栽培しているセンナの葉。左がチンネベリーで右がアレキサンドリア
アレキサンドリアの葉の方が白っぽく、小葉の幅が広めである。そして、葉の厚みもあるようだ。

センナ葉比較
↑葉を数時間放置しておいたら、チンネベリーの葉はどんどん乾いて、シワシワになってきた。アレキサンドリアはまだシッカリしていて葉を閉じた。1枚だけの比較では何とも言えない。

2010.09.15 Wed 22:03
チンネベリーセンナが咲き始めたのが8/16だったから、25日ほど遅れてアレキサンドリアセンナが咲き始めた。

アレキサンドリア花
↑9/13撮影

葉が丸くて厚めだったので、花も大きくて立派なのではないかと思っていたのだが、予想に反して花が小さい・・。但し、花の形はチンネベリーとソックリだ。


比較2

↑左がアレキサンドリア、右がチンネベリー

アレキサンドリアの花径は、チンネベリーの半分強といったところ。花の大きさの違いが種の違いによるのか、それとも系統によるものなのか判らない。後で詳しく調べてみないといけないのだが、そもそも今栽培している植物をアレキサンドリアあるいはチンネベリーと呼んでいること自体が、「そう言われて入手した」名前を信じているだけの話なのだ。正確に同定するには、ちゃんと学名が同定されている押し葉標本と比較せねばいけない。これはどんな植物にも言えることで、疑いだせばキリがないからとりあえず信じていることにして、それでも頭のどこかに疑念を残しておいた方が良い。植物園や他人が栽培しているものを見たり、あるいは文献等で徐々に明らかにしていくのもまた楽しいものだから。

とりあえず、アレキサンドリア(らしき)が開花したということでアップすることにしよう。花が咲けば、何はともあれ嬉しいものである。

・・・・・が、チンネベリーに莢が出来ていないのが気がかりだ。何かを達成すれば、新たな悩みが発生するのは世の常で、植物栽培もまた例外では無い。

2010.09.02 Thu 15:45
どんな植物でも同じだが、植物の栽培には様々な楽しみがある。
ザッと並べて見ると・・・

1)栽培法
2)その植物が植物界のどの辺に位置するのか(親戚筋とか)
3)自生地の環境・・・栽培に役立つ。自生地での姿に想いを馳せる・・・
4)成分・・・薬草では当然。野菜も気になる。花の色素も範疇
5)上記から派生するその他もろもろ・・・おっと、品種改良はされてるのかな・・・等々

かつては調べることが大変だった情報も、今はかなりのレベルまでインターネットを通じて入手出来る。
センナの栽培記録を検索してみると、下記の2件がダウンロード可能だった。昔だったら調べたり入手したりするのに随分と苦労しただろう。本来ならタネまきする前に検索しておくべきなのだが、後手後手で慌てるのもまた楽しいということで。

センナ (Cassia angustifolia Vahl) の栽培に関する研究 I. 種子の発芽と幼植物の生育
センナ (Cassia angustifolia Vahl) の栽培に関する研究 II. 移植法による圃場栽培での生育, 収量


2010.08.31 Tue 16:11
1.センナという植物
 センナは、その瀉下成分センノサイドが便秘薬(例えばエスエス製薬のスルーラックや大正製薬のコーラック)に配合されるため、特に女性には比較的馴染み深い薬用植物だろう。乾燥葉としても販売されているので、そのまま煎じたり、あるいは粉末化して服用するが、人によって適量が異なるようで薄めのものから始めないと酷い目に遭う。幸いにも便秘とは無縁の人でも、胃のバリウム検査後に飲む下剤にはセンノサイド類が配合されているので、センナは日本人の多くがお世話になっている植物と言える。

 古今東西、便秘に苦しむ人は多かったようで、便秘に効く薬草は古くから使われていた。その代表的なものが西洋ではセンナ、中国ではダイオウや牽牛子(アサガオの種子)である。これらのうち、牽牛子は今では滅多に使う人はいないと思われるが、センナとダイオウは今でも重要な薬草として世界中で使われている。面白いことに、ダイオウの瀉下成分もまたセンノサイド類であり、便秘薬を求める東洋人と西洋人が同じ成分に行き着いたということになる。また、マメ科とタデ科という縁の遠い(目レベルで違う)植物に共通する二次代謝成分が含まれることは、その生合成経路の進化や植物自身にとってのセンノサイドの役割を考える上でも興味深い。便秘に悩む植物というのは聞いたことが無いので、全く別の役割を果たしているには違いない。アサガオが出てきたところで思い出したのだが、アサガオ類は南アメリカを起源とする植物らしい。南アフリカ大陸と南アメリカ大陸が分離した後で世界中に広がったという説もあり、ひょっとしたら人間が薬として携えたので云々とする説もあるようだ。アサガオが日本にやって来たのは奈良時代なので、そうなると・・・この話はまた改めて書きたい。

 さて、センナはこのように古くから薬として利用されてきた植物であるが、生きた植物を見たことがある人はほとんど居るまい。ダイオウを見たことがある人もまた稀少だろう。そもそもどんな薬草でも、一般市民が目にする機会自体滅多に無いのだが、その中でもセンナやダイオウはさらにレアな存在である。私も某企業の薬草園で一度見たきりだったので、レアと聞いただけで興味をソソラれる人間としては、一度は栽培してみたいと思っていた。単に栽培してみたいという以外に、チンネベリーセンナとアレキサンドリアセンナの違いをこの目で確認したいという気持ちもあった。さらに、アレキサンドリアセンナの方がセンノサイド含量が高いとされるが、それが種による違いなのか生育環境によるものかも気になることである。形態的に、そして成分的に良く似た植物が、インドとアフリカに隔離分布している理由も気がかりだ。あれやこれやで興味を掻き立てられる植物である。

2.センナの栽培
 今春、幸運なことにセンナのタネを入手出来たので、5月上旬に早速播いてみた。発芽率は良好であったものの、発芽後数日のうちに胚軸が黒変する等の立ち枯れ病の症状が出て、本葉が出る前に次々に枯れてしまった。昨日まで元気でいた芽生えが今朝はもう倒れているというのは何とも辛いものである。ついつい日に何度も観察してしまうのだが、不思議と倒れる瞬間を目にすることは無い。そんなこんなで、何とか生き残った苗もほとんど生長せず、本葉が出るまでに1ヶ月ほどかかってしまった。原産地では播種から結実まで3ヶ月と聞くが、この調子では開花まで辿りつけるかどうかすら危ぶまれた。


センナ苗
↑ 実生の様子(6/13) 播種後1ヶ月になるが、やっと本葉が見える程度にしか生長していない。


センナ植付け

 6月に入り気温が徐々に上がってきたところで、ようやく本葉が出始め、7月中旬には4枚ほどになった。しかし、相変わらず草丈は低く数センチメートルしかない。7.5cmビニールポットの底穴から根が出始めたので、7/21に65cmプランターに移植した(写真↑)。手前プランターの4本がスーダン産アレキサンドリアセンナ、奥の4本がインド産チンネベリーセンナである。写真では判りにくいが、本葉の形はアレキサンドリアセンナの方が丸みを帯びている。

センナ2

 両種とも移植後しばらくは動きが無かったが、8月のとんでも無い高温が続いたのが幸いしてか急速に生長し、チンネベリーセンナは16日より次々に開花し始めた。写真(↑)は8月31日の様子である。わずか40日ほどでこんなに大きくなるとは思っていなかった。このような驚くべき生長速度は、短い雨期に素早く開花結実するために不可欠な能力なのだろう。手前のアレキサンドリアセンナも生育は旺盛なものの着蕾数は僅かである。この違いが、両種の遺伝的な違いに由来するのかどうかは判らない。


センナ1

↑ チンネベリーセンナの花穂。節の部分や蕾から蜜を出すようで、多数の蟻が忙しそうに行き来している。縁の遠い植物であるアカメガシワも葉に蜜腺(花外蜜腺)を持ち、多数の蟻が集まる。これは、イモムシ等による食害から身を守るための戦術とする説があるが、本当のところは植物に聞かねば判らない。確かに合目的的で魅力的な説明ではあるが。


センナ3
↑ チンネベリーセンナの花部拡大。
ジャケツイバラによく似た花で、莢になる雌しべ(湾曲した緑色のもの)と長い雄しべが2本見える。小さい雄しべは花粉があるのかどうか、退化したように見える。

 センナはマメ科、あるいはジャケツイバラ科の植物とするのが一般的(分類学的な話はまた別途)だが、ゲノム解析も取り入れた最新のAPG植物分類体系ではマメ科ジャケツイバラ亜科とされる。ジャケツイバラ亜科は、マメ科に特徴的な蝶型の花ではなく、一見ツツジのような花をつけるものが多い。

チンネベリー花

 折角咲いたのだから、写真も綺麗にとってやりたいものだが、ビニールハウス内なので光線の質が違うらしく、思ったような色になってくれない。プランターを外に持ち出して撮影しようと思ったら、底から出た根が地面にまで張っていて、プランターを持ち上げることが出来なくなっていた。無理に引っ張って根を切ると枯れてしまう可能性があるので、やむを得ずそのまま撮影することに。背景に黒っぽい布を張り逆光で撮影してみたのだが、薄い花弁の質感が伝わるだろうか?
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